MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM / Angst

Angst

Angst

  • アーティスト:KMFDM
  • Metropolis
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 ドイツ出身のインダストリアルバンドの6thアルバム(1993年)。

 

 これまでのEBM/インダストリアルダンス路線から一気にインダストリアルメタル化が推し進められ、サウンド面での転換期を迎えた節目の一作。エレキギターは初期から取り入れてはいたけど、今作でギタリストを増員し(ライブでは更に増やしたとか)メタリックなリフを大々的にフィーチャーすることで、来たるインダストリアルメタル全盛時代に対応するべくフォルムチェンジしたような様相。特に作品中随一にハイスピードなスラッシーナンバー「A Drug Against War」は彼らが辿り着いたアンセムで、世のメタラーにもリーチしうる怒涛の激しさと、キャリアを通したライブ定番曲になるポテンシャルを備えた必聴名曲。概ね他の楽曲でも、オープニングを飾る「Light」や中盤に位置する「Glory」などに顕著なマッチョで印象的なメタルリフが基本全編に渡り活躍する一方で、楽曲そのものはEBMやクラブサウンド上がりのビート感がしっかりと生きていてKMFDMらしさはそのままだし、全体的にも男女ともにボーカルがしっかりと歌を(歌メロという意味ではなく)聴かせる構図になっていて、総じてよりロックバンドっぽくなりつつもオリジナリティを失わず、かつ随分と聴きやすくもなっています。ここまで挙げた3シングル曲以外はややワントーン気味で地味さが勝る曲もあるけど、後追いで聴いても違和感なく楽しめるという点でも、彼らの大躍進の第一歩となったアルバムではないかと。