MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

Flesh Field / Viral Extinction

Viral Extinction

Viral Extinction

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 アメリカ/オハイオ出身のダークエレクトロ/エレクトロインダストリアルユニットの1stアルバム(1999年)。

 

 Ian Rossというメインコンポーザーと女性ボーカリストの2人組のユニットで、今作と次作はRian Millerという人物がボーカリストを担当。音楽性はゴシック色強めのダンサブルなエレクトロインダストリアルで、彼らの場合はその中でもリズムトラックの強さや硬さ、4つ打ちのリズムやスピード感にプライオリティを置き、その脇にシンセやストリングス、機械的なSEなどを鳴らすことで全体的に若干SFチックでひんやりと冷たい質感の無機質なダンスサウンドを作り上げています。なのであんまりゴシックゴシックしていないというか、もうちょっとノーマルな(?)EBMやインダストリアルメタルが好きな人にも割と親しみやすい感じがあります。ただ、音の作りそのものはそこそこ格好いい部類なんだけど、どの曲もテンポやアレンジが似通っていてあまりにもワンパターンだし、男女交互に歌うボーカルに関しても、割と出番多めのIan Rossのボーカルも楽曲を引っ張るにはやや力量不足だし、Rian Millerのボーカルも "ただ音符をなぞっているだけ" 的な表情のなさが気になって、耳から抜けていくというかどうにも入ってこない。そんな中でピアノやオーケストラ色を全面に出したゴシック色の強いミドル曲「My Savior」は、本作中では異彩を放つだけに翻って新鮮で良かった。やりたいことや素材なんかは光るものがあるだけに、最終的な料理の仕方がちょっと勿体ない、そんな惜しさを感じる一枚。