MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

BUCK-TICK / 悪の華

 5人組ロックバンドの5thアルバム(1990年)。

 

 前作「TABOO」の評価やセールスで勢いに乗るも、ギタリスト・今井寿の逮捕による半年間の活動休止が課せられ、その復活作となった作品。謹慎をものともしない、むしろブレイクと休止が重なったことで更なる話題になりファンも飢餓感が高まり、バンドで最大のセールスを記録した代表作になりました。また、その退廃/耽美的な作風やイメージの合致/増強により、後のヴィジュアル系シーンにも多大な影響を与えたとされています。一見綺麗なポップソングに見えてかなりトリッキーな今井寿節炸裂の「NATIONAL MEDIA BOYS」や、復帰第1弾リリースで大ヒットしたシングル曲「悪の華」といったアルバムの顔役とも言える楽曲のテーマやアレンジの深さは明らかに際立っているし、アラブ音階を用いた「幻の都」や中東の要素を盛り込んだ「SABBAT」のような異質な妖しさを強調する曲、繊細でポップな疾走曲「LOVE ME」に星野英彦ワールド全開の「PLEASURE LAND」など、目を見張る楽曲も数多いです。前作の手応えやセルフプロデュースに戻した収穫、また多忙を極めた活動が謹慎により一旦リセットされ自分たちを見つめ直す時間が生まれたなどの要因が本作を押し上げたと言えそうだけど、一方で久しぶりのレコーディングで全てが狙い通りにはいかなかったという反省もあったそう。確かに上手くまとまってはいるものの、微妙な難解さが少々インパクトを薄めている印象もあるかも。しかしシーンにとっての一つの金字塔として、今後も語り継がれる名作に違いはないでしょう。