MECHANICAL FLOWER

機械、金属、肉体、電子、幻想、前衛…そんな音楽が好き。

KMFDM / Nihil

Nihil

Nihil

  • アーティスト:KMFDM
  • Metropolis
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 ドイツ出身のインダストリアルバンドの7thアルバム(1995年)。

 

 彼らの長い歴史の中でも最高傑作との呼び声も高く、同時にインダストリアルメタル史に渾然と輝く名盤。何と言っても、インダストリアルメタルとしての洗練されたヘヴィさ、ブラックミュージック/ソウルフルな持ち味の際立たせ方、そしてクラブシーンを沸き立たせるようなダンサブルなビート感。彼らの得意とするそれぞれの要素が磨き抜かれた上でバランス良く融合し、一つの完成形とも言える高みにまで到達しているのがその所以でしょう。前年のスプリット盤で久々に共演したPIGのRaymond Wattsも約7年ぶりに参加し、制作面やレベルアップした低音ボーカルにて多くの楽曲を牽引。他にも近々でお馴染みの女性ボーカル/コーラスの重用やRevolting Cocksのドラマー・Bill Rieflinの参戦、新たに取り入れた各種ホーンセクションなど、制作における参加人数・使用楽器も過去最大級。ギターに比重を置きすぎた前作を省みながらも攻撃的なメタルギターの存在感を減退させることなく、更に多種多様なアイデアを盛り込むことで実にバラエティに富んだラインナップになっています。特に彼ら最大のヒット曲となった快楽的なインダストリアルダンス「Juke Joint Jezebel」は押さえておくべき出色の名曲。彼らの中でも最大のセールスを記録し、Ministry・Nine Inch NailsSkinny Puppyらと並びこのシーンの代表選手に数えられるのも本作あってこそ。個人的にもインダストリアルロックの世界に魅入られたきっかけの一つなので思い入れも強く、未だに聴き返す度に色褪せない衝撃が走ります。インダストリアルの枠に留まらず、幅広くお勧めできる珠玉の一枚。