harshrealm / [lies/cold display]

[lies/cold display]

[lies/cold display]

 

  福岡を拠点に活動する2人組エレクトロニック/インダストリアルロックバンドのリミックスアルバム。

 

 1stアルバム「[she/underwater]」からのリミックスアルバム。このアルバムにもボーナストラック的にリミックスが収録されていたけど、それらとはまた異なった趣が楽しめます。リミキサーはUS、カナダ、ドイツ、スウェーデンなど様々な海外のクリエイター/アーティストを起用。EBM/フューチャーポップ/トリップホップなどにアレンジされた色とりどりなダンストラックが楽しめる前半もいいし、より硬質/マニアックなインダストリアルメタルに変貌した中盤のセルフリミックスを経て、音数を絞られたアンビエント/トランスが展開する後半という流れもいい。彼らの曲がもともと幅広いエレクトロニック音楽に深い造詣を持つので、リミックスの懐が深いというのもポイントかも。あえてかどうかは知らないけど、沢山の候補があったであろう1stの中から5種の曲のみ選出と簡潔だし、無駄に長かったり自己満足なリミックスもなく、全体のボリュームも全9曲と抑えめなので、散漫にならず聴けるのがとても良いです。ラストを飾るのはSybreedのメンバーが手がけたリミックス。本隊バンドほどマシーナリーなメタルではないけど、どこかそれを彷彿とさせる奥行きのあるシンセが加わり心地いい。

harshrealm / [she/underwater]

[she/underwater]

[she/underwater]

 

 福岡を拠点に活動する2人組エレクトロニック/インダストリアルロックバンドの1stアルバム。

 

 1stシングル収録の2曲を含み、それらの先行して発表した楽曲を軸に拡充した世界を提示。大別すると、例えばCrossbreedや彼らと親交のあるProfessional Murder Musicにも似たシンセ主体/ゴス風味/インダストリアル要素を持つロックだけど、ありがちなニューメタルをベースにした大味なものではなく、あくまでもEBM/トランス/エレクトロニカ/へヴィロック等を巧みに通過した上での多彩さ、重厚さ、また相反する浮遊感を感じさせます。アグレッシブなリフを繰り出す攻撃的な曲から、ピアノ/エレクトロで静謐に聴かせる曲まで幅があり、デジタル/プログラミングも多用していながらも、流れ良く、また泰然と紡がれる芯の通った退廃的で陰影の深いサウンドは「ヨーロッパの湿気」とも称されたそう。ダークネス/へヴィネス/メランコリーのバランスが見事で、かつちゃんとポップなのが嬉しいところ。ちなみに元KMFDMのEn EschやGünter Schulzが一部ゲスト参加しているというインダストリアルロックファンには注目のトピックも。初めて聴いたときは、彼らの情報の少なさから来るミステリアスな印象、魅惑的なアートワーク、また日本のバンドからこんな作品が生まれるんだという驚きもあって、相当な衝撃を受けたものでした。全体的な水準はかなり高いと思うし、そういう個人的な思い入れや相性も手伝って、何年も経った今でも色褪せない作品として君臨しています。当ブログ推奨盤。

 

harshrealm / [harshrealm/strange days]

[harshrealm/strange days]

[harshrealm/strange days]

 

 福岡を拠点に活動する2人組エレクトロニック/インダストリアルロックバンドの1stシングル。CD化されているシングルとしては現在唯一のもの。

 

 詳しくは知らないけど「Goth Electro Tribute To Depeche Mode」や「DJ RiB Dark Trance Vs. Neo-Goth Volume 1」といったCleopatra Recordsの新鋭ゴス系コンピレーション盤に参加実績のあるバンドのようです。音楽性もゴス風味を効かせたエレクトロニックロックど真ん中で、Professional Muder Musicが関与した曲や、Razed In Blackが提供/プロデュースした曲があり、そのままそれらのバンドの音楽性が投影されているかのようで、緻密に構築されたシンセ/ギター/打ち込みのサウンドプロダクションがさすがに素晴らしいの一言。ボーカルにやや癖はあれど、メロディも十分に洗練されており、耽美な歌モノとしてもなかなかなもの。ドメスティックな空気感や地下ゴスっぽい粗さが一切なく、全英詞なことも手伝って海外バンドのような聴き心地ではあるけど、ただの借り物ではなくきっちり彼らの血肉とした上で表現しているような佇まいがあり、初の単独音源にしてこの説得力はちょっと凄いです。ちなみに本作には、かつて管理人が多大な影響を受けたWebサイト「coldburn」管理人のAsakoさん(@coldburn123)がthanksにクレジットされており、それに後から気づいてすごく驚いたという思い出があります。

 

(「Goth Electro Tribute To Depeche Mode」より)

Pain / Nothing Remains The Same

Nothing Remains the Same

Nothing Remains the Same

 

 スウェーデン出身のPeter Tagtgrenによるインダストリアルメタル/シンフォニックメタルプロジェクトの3rdアルバム(2002年)。

 

 メタルギター、エレクトロニック、シンフォニックな弦の三位一体の絶妙なバランスと高品質な楽曲のアベレージで超強力な傑作となり、Painの存在を知らしめた前作。本作もその路線を引き継いでいるものの、スピーディな曲が多かった前作に比べるとスローに聴かせる曲の比率が増え、何だったらギターの存在感を薄めてストリングスをど真ん中に置いた泣きのバラードまでも披露。以前には全くなかったタイプの曲が新境地を思わせるけど、質的な変化というよりは、楽曲における各々の要素の配分が少し変わったり、方向性に幅を持たせたような感じ。全体的なクオリティで言えば相変わらず何の申し分もないし、スピーディな名曲リードトラック「It's Only Them」や、The Beatlesのカバーながらも完全に自分の物にしている「Eleanor Rigby」なども聴きどころではあるけど、「Supersonic Bitch」「On And On」を始めとした疾走感のある素晴らしい曲たちがガンガン攻めてくる前作の方が個人的には衝撃的だったなとは思います。

 

I've / SHORT CIRCUIT II

SHORT CIRCUIT II(DVD付)

SHORT CIRCUIT II(DVD付)

 

 北海道に拠点を置き、アニメ/ゲーム系の楽曲を中心に制作するクリエイターチームによる2作目のコンセプトアルバム。

 

 「電波(デジ)革命音戦士 第II章!!!」を掲げた電波ソングアルバム第2弾。衝撃の第1弾から4年余り、すっかり市民権を得た電波ソングではあるものの、ある程度できた免疫を塗り替えられるような破壊力が素晴らしい。核となる歌手のKOTOKOがメジャーデビューし脂が乗っていた時期ながらも、電波ソングの仕事も手を緩めず、むしろ歌唱にも作詞にも大車輪の活躍。「可愛さあまって(もう、うきうっき~☆)」「はい!コネこねこね☆ぱったん!1,2,3で~冷やして♪」「負けないでGO☆女は度胸!言っちゃうゼ~~~!!」どうでしょう、どうでしょうこれ(笑)。合いの手や萌え台詞を詰め込んでオタクの妄想を具現化したような歌詞は相変わらずギリギリアウトだし、前作にあった詩月カオリのボーカルデビュー曲のようなブレイクタイム的な曲もほとんどなく、楽曲の充実や勢いは前作を凌ぎ、書き下ろしの新曲もいい感じ壊れていて、印象としてはますますKOTOKO無双──もはや敵なしといった感じ。というかミニマル&ミニマムなエレクトロビートに早口ボーカルが乗る「Princess Bride!」、ロックなサウンドに勇ましい冒険譚の詞が映える「Princess Brave!」というインパクト/存在感ともに突出したBraveシリーズの両曲が収録という時点で、勝ちが約束されたアルバムと言ってもいいでしょう、うん。

 

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KOTOKO / UZU-MAKI

UZU-MAKI(初回限定盤)(DVD付)

UZU-MAKI(初回限定盤)(DVD付)

 

  I've専属(当時)ボーカリスト/シンガーソングライターの3rdアルバム。

 

 自身が初挑戦の油絵で描いたという渦巻きのジャケットが目を惹きます。この濁ったイラストが象徴するのは見た目そのまま「混沌」で、明るい曲や暗い曲を極端に行き来し、色んな表情を見せる彼女のごった煮状態な作風を表しているようです。本作は基本的には開放的な曲で構成された前作を引き継ぐ方向性ながらも、まんまKMFDMリスペクトなメタルリフから始まるインダストリアルなタイトル曲「UZU-MAKI」から始まり、自身最高のヒットシングルとなった伸びやかなメロディの名曲「being」へ徐々に盛り上げ、初期I'veっぽいリミックス曲で締めるという曲ごとのカラーや流れの良さが明快で、渦巻いている…という程ではないにしても、良いとこどりが出来ている感じ。過去のタイアップ曲や電波ソングなどに比べたらやはり全体的に少々地味めではあるけど、それは彼女がソロアルバムではそういった大衆的なイメージとは異なる「素の自分」を意図的に表現しているからでもあり、その追及も一旦ここで終わるので、彼女のキャリアにおいては一種の区切りとなった作品とも言えそうです。

 


Kotoko Being

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D'espairsRay / BORN

BORN

BORN

 

 5人組ヴィジュアル系ロックバンドのミニアルバム。

 

  「ダークと破壊」をテーマに掲げるバンドで、ゴシック&ヘヴィなサウンドにシャウトを織り交ぜる力強いボーカルが持ち味。ミニアルバムとしては2作目になり、内容は新曲2曲+リメイク3曲という構成。これより過去にリリースされた音源の多くの曲では、表現したい世界に実力や手法が追いついていなかったり、恨み節のようなボーカルも含め妙にゴテゴテした聴きづらさがあったりと、所謂「DIR EN GREY以降」でしかなかったけど、本作では出来の良い楽曲がピンポイントで選出されたことも含め、そのあたりが幾分解消され過去最高の出来だし、更なる飛躍を見せる次作フルアルバムへの橋渡しになっています。民族調の楽器、シンセ、鐘の音、LUNA SEASUGIZOが演奏したバイオリンなどを用いたいい意味での異物感が混ざるヘヴィロックは、まだまだインダストリアルと呼べる領域ではないにしても、光るものを感じさせます。ただ、中盤の曲にまたがる演劇的な台詞は、B級ホラー臭さがバンドの進む方向性に合わず蛇足だと思うので、思い切ってカットして欲しかった。

 

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