Revolting Cocks / Beers, Steers & Queers

Beers Steers & Queers

Beers Steers & Queers

 

 MinistryのAl Jourgensenによるサイドプロジェクトの2ndアルバム(1990年)。

 

 ライブアルバム(未聴)を挟んでのリリース。まさに1stで確立した路線をそのまま突き詰めて順当に完成度を高めたという感じで、強靭なダンスビート/ハンマービートの上をタフなベースラインと自由度の高いボーカルと悪ふざけのようなサンプリングが往来する怒涛の変態EBM。1stにあった無機質さや未完成な余白がきっちり埋められ、喧噪と享楽をモットーにしたかのようなファンキーなインダストリアルダンスが圧巻の一言だし、曲によってはMinistryがメタルギターを取り入れ始めた1989年前後の作品がまとうおどろおどろしさやスリリングさも合わせ持っており、その落差もまた格好いい。もしかしたらいい意味で影響を与え合っていたのかも。その辺りのサウンドが好きな人にはジャストだと思うし、個人的にはこの自由かつ粗暴なパワーは初期のFoetusを思い起こさせるものもありました。EBM愛好家にはメタル化以降のMinistryよりも評価を高くする向きもあるというのも納得。彼らが(2006年の復活以前に)残した3作品の中では随一の傑作なのではないでしょうか。

 


Revco - Stainless Steel Providers

 

ギルガメッシュ / Reason of crying

Reason of crying

Reason of crying

 

  4人組ロックバンドのミニアルバム。

 

 前フルアルバムから約10カ月ぶりとなった、書き下ろしの楽曲5曲(+α)で構成されたミニアルバム。ヘヴィなサウンドを軸に置いたスタイルを踏襲しながら、一部で必要に応じて打ち込み(スクラッチやリズムトラックやピアノ等)をアクセント的に取り入れるなどの変化があり、左迅のボーカルも大きな向上が見られ、時には激しいシャウトからラップまで自在に歌いこなす。こういった表現の拡大がそのままバンドの個性に繋がり、明らかなパワーアップが見て取れます。オープニング「Real my place」の切れ味からしてそれまでと一線を画すフックがあるし(何でこの曲が後のベストアルバムやラストライブに選出されなかったのかが不思議)通常盤のみに収録された限定シングル曲「お前に捧げる醜い声」も、ムックの「茫然自失」の大きな影響を感じるけど、ひたすらに激情を叩きつけるその猛烈なパワーでライブの定番かつバンドを代表するまでなった必聴曲。彼らのその後の躍進に繋がった作品ではないかと思います。

 


Girugamesh - Real My Place

ギルガメッシュ / 13's reborn

13’s reborn

13’s reborn

 

 4人組ロックバンドの1stアルバム。

 

 2004年から活動を開始し、2016年の解散まで籍を置いた事務所に所属してから初のフルアルバムとなった本作がリリース。タイトルはそれまでに発表した配布/限定を含む13の音源の総決算を意味する…かどうかは定かではないですが、いくつかの収録曲は引き継がれています。2000年台初頭に起こった海外ニューメタルのブームや、それに影響を受けた当時のヴィジュアル系バンドの血筋を受け継いだラウドなへヴィロックで、「男魂」というバンドコンセプトを掲げる通りに、媚びを感じさせない骨太さやシリアスさがあるし、親しみやすい歌と激しいシャウトを行き来する左迅のボーカルも既にバンドの大きな武器になっています。ただ、後に更にミクスチャーやメタルコア方面へ傾倒しより彼ららしいスタイルを確立していくので、そこと比べると打ち込みなどの音がほとんどなく生音メインでゴリゴリ押す本作は、サウンド面で言えば明らかに発展途上。楽曲面では光るものもあるけど、汎ヴィジュアル系臭さが抜けきれてない部分は今から見るとやはり若さを感じさせます。

 

C.G mix / in your life

in your life

in your life

 

 I'veのクリエイター兼ボーカリストの1stアルバム。

 

 名だたるI'veの作家陣の中で、唯一I've内での歌手活動もしている彼。とはいえ彼が受け持つボーカル曲はかなり少ないし、ガールズコンピ盤には収録されないので(当たり前だけど)普通にI'veを追っているだけでは耳にする機会は非常に少ないです。本作はそんな彼の貴重なボーカル担当曲を収録しつつ、同時にアーティストとしての側面を表現したソロ作品となっています。内容に関しては彼の音楽的バックボーンであろうどこか懐かしい往年のシンセポップ的だったり(というかぶっちゃけ小室哲哉っぽい)健全な鍵盤バンドサウンドの歌モノだったりであまりこれといった尖り方はしてないです。I've参加のずっと前に歌手デビューの経歴がある割にはボーカルもあまり上手ではなく、難易度の高い高音や早口パートでは粗も見られたり。MVが作られた「version up」やI've歌姫のMELLがコーラスで参加した「DETECT」は攻撃的だけど、他の曲は平坦で印象薄。彼が手がけたI've曲は正統派から電波まで素晴らしい曲が多いのに、本作はそういうイメージがサウンドにも曲にも無いので、そういうのを期待する人が手に取る必要はなさそう。

 


C.G mix/version up -Promotion movie-

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川田まみ / SEED

 I've専属ボーカリストによる1stアルバム。

 

 KOTOKOに続きI've専属歌手から2人目のメジャーデビューを果たし、順調にシングルリリースを重ねた末の記念すべき初アルバム。その楽曲の多くは、歌手としてだけでなく作詞家としての顔も持つ自身による作詞、I've作家陣でも川田まみを強く受け持った中沢伴行による作編曲/メインプロデュースという、彼女の音楽活動において最後まで貫いたフォーマットが既に確立。自身のターニングポイントと語る名曲「IMMORAL」をほぼ中心に配置し、アニメに提供したタイアップ曲を始め完成度の高い曲が並びます。が、どうしてもやや地味目なミドルバラードの存在が勢いを削ぐ面もあり、そこがトータルで見ると少し残念。ここらは初期のKOTOKOを思い起こさせるんですが、元々彼女の歌声を「昔はKOTOKOに似ていた」と評していた作家陣による意図なのか、川田まみという個性がまだ芽吹き切ってないが故の無難な落としどころなのか。後にアニソン歌手として大成する彼女のパブリックイメージのある今から振り返ると、やや大人しいというか、まさにタイトル通りまだ成長途中というか、そういう風に映るアルバム。

 


アニソン スターシップ・オペレーターズ OP

 

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The Berzerker / The Reawakening

Reawakening

Reawakening

 

 オーストラリア出身のデスメタル/インダストリアルメタルバンドの5thアルバム。

 

 ここまで所属していたグラインドコア系の老舗レーベルEarache Recordsから離れ、Berzerker Industriesという自主レーベルからのリリースとなった彼らの最終作。環境の変化やアルバムタイトルから再出発という意気込みがあったのではと予想されます。超ハイスピードかつ暴力的な打ち込みグラインドコアという根幹は昔から一貫していながら、近々の作品ではメタリックなバランスに傾いた分、初期にあったインダストリアルメタルやテクノの突然変異のようなインパクトも喪失しつつありました。しかし本作では高速早回しガバビートやサンプリングを巧みに使った機械的なサウンドに回帰し、かと言って1stほどデタラメ過ぎず程よく洗練された楽曲群で、彼らにしかできないエクストリームミュージックを取り戻し強化。ドドドドカカカカと容赦なく攻め立てる圧巻のサウンドにひれ伏さずにいられません。自分たちの持ち味を見失わず駆け抜けここにきて最高傑作に迫る勢いの作品で最後を迎えた彼らは、解散が非常に惜しいバンドだったと思います。デジパック盤の終盤に収録されたリミックス群も必聴の出来。

 

SHIHO / Divarats

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 I'veの元専属ボーカリストによるソロデビューミニアルバム(2005年)。

 

 ソロデビューと言ってもKOTOKO川田まみのようなI've作家陣とタッグを組んでのメジャーデビューとは違い、この時点でI'veを卒業し、自身の実弟であり作曲/プロデュースなどを担当する共同作業者の¥utaka氏と立ち上げたインディーズレーベルSTARAVIDからのリリース。ユーロビート的なダンスナンバーからI've直系のシンセポップ、果てはデジロックからR&Bまで、四つ打ちを基調にしたデジタルポップな楽曲が並びます。タイアップにも対応できそうな優等生なアニソン/ゲームソング的ではあるけど、悪くないけど決め手に欠けるというかイマイチ楽曲を通して「I'veとは別の道で表現したかったもの」が見えてこない。唯一、自身の英語力を生かした全英詞の「Don't cry」がバックのアーシーなサウンドと相まっていい意味で浮いていて格好良かったです。KOTOKO川田まみも少しずつ成長していったものだし彼女の今後にも要注目といったところ。

 

www.youtube.com

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